テクノロジーは建設現場の安全性をどのように向上させているか

06 June 2018

(原文:  HOW TECHNOLOGY IS IMPROVING SAFETY IN CONSTRUCTION 01 March 2017 )

ハイテク器具がかつてない建設現場の安全性革命を起こしている。

先見の明のある建設請負業者は、新たなテクノロジーを取り入れている。彼らのプロジェクトとスタッフは、テクノロジーで溢れている。

安全点検のドローン機が頭上を旋回する。照明付のヘルメットを被った作業員たちが現場を大股で歩き、頭に装着したGoogleメガネ型コンピュータでセーフティアラームをリアルタイムで確認する。

従来建設業は、世界で最もデジタル化の遅れた業界のひとつとされてきた。何がこの急速なテクノロジーへの集中化を駆り立てているのだろう。

最大の要因は、建設現場が潜在的に危険であること、また怪我や死亡事故の統計デーが21世紀の労働安全基準を満たしていないことだ。

Health & Safety Executiveによると、英国では20152016年に43名の作業員の死亡事故が起きており、過去5年間と同等の事故件数であった。毎年、建設現場作業員の約3%が業務に関連した損傷を負っている。

しかし、設計・建設の全段階での技術を高めれば、死亡事故・怪我の数を減らすことが可能であり、そこには保険コスト削減の可能性も秘められている。

傷害費用請求が主要請負業者に与える影響

使用者は、作業員に対し法令上の義務と注意義務を負う。安全への取組みを怠れば、怪我や死亡事故に繋がりかねず、さらに使用者賠償責任請求 (EL) や第三者賠償責任請求を受ければ重大な財務損失を招きかねない。

多くの建設請負業者は、そのような賠償請求の支払に数十万ポンドものお金を費やしている。さらに困ったことに、英国では高額な(100万ポンド以上の)傷害請求が増えている。その驚くような数字の詳細分析については、2017年のJLT発刊のEmployers’ Liability Benchmarking Whitepaperをご参照願う。

コストはさらに増えていきそうだ。20173月の人身傷害割引率 (Personal Injury Discount Rate : PIDR) 低下は、人身傷害保険請求の支払に影響を与え、割引率がもっと現実的な水準に戻らない限り、一時金支払額は急増していくことになる。これは、保険会社の準備金に影響し、保険料と更新費用を押し上げることになるだろう。

テクノロジーによって建築現場の安全性はどれほど改善されるだろうか。現在、入手できる統計データはないものの、テクノロジー業界の大手企業やインテルのようなグローバル企業は、建築業界向けのソフトウェアやガジェット、ロボットを開発している。安全性の向上、効率の改善、コストの削減は、それ程遠い話ではない。

建設現場の安全性を向上させる技術

ここでは、拡張現実から3次元レーザーまで、建設請負業者や開発者にとって嬉しい安全技術を紹介する。

  • 設計段階:施工前に怪我が起きそうなポイントを特定する

ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIMは、大きな可能性を持った3次元モデルベースのスマートプロセスである。これにより、建築家、エンジニア、建設専門家はBIMを使うことで効率的に建物やインフラの計画、設計、建設、管理を行うことが可能である。

この技術は、施工前リスク評価や現場内の安全対策の実施に使用されている。この技術により、プレハブ、組立、その他の“安全を確保するデザイン(prevention through design)”方式を最大限に利用することができる。これらの方法を使えば、潜在的に危険な工事中のリフトやはしごでの移動のリスクを取り除き、何千時間もの労働時間を減らすことができる。

バーチャルリアリティ(VR) は、セーフティトレーニングに新たな様相を与えている。実際の作業場や危険度のシミュレーションを作ることで、作業員に事故を減らすスキルを与えることができる。ユーザーは怪我をする危険を冒すことなく、危険なシチュエーションに慣れることができる。建設会社のBechtelVRトレーニングプログラムのトライアルを行っており、没入型VRセーフティトレーニングが当たり前になる日もそう遠くないだろう。

拡張現実(AR)によって、プランナーや建築家はクライエントや建設請負業者とリアルタイムで協働し、プランやプロセスを設計の段階で調整することができる。ARはデータや画像を現実空間に重ねて映し出すことで、建設情報の共有と、ひいてはリスク軽減を可能にする。これは特に、複雑なプロセスでの危険度をハイライトする際に有益である。ARによって作られた情報を基に、管理者は工程中のピンチポイントを特定することができる。

VR + AR: 近い将来、ARVRの両方を使ってデザインに対する実際の建物をスキャンすることができるようになる。例えば、バーチャル画像を作ることで、作業員はどこにパイプが走っているかを確認したり、建築専門家(家主でさえも)は進捗状況を監視することができる。これら3次元スキャンをBIMデザインと重ね合わせれば、元の構築と現在のものを比較することもできる。

  • 施工段階:現場の安全性を高める

建築現場の至るところに設置されたスマートセンサーは、温度、湿度、ダスト微粒子、圧力、騒音振動、ニスや塗装の塗りすぎによる揮発性有機化合物の発生など、目に見えないリスクを感知・測定する。

集積されたデータは、リアルタイムのアラートや長期的なリスクレベル評価を作成するためバックエンドシステムに利用される。この技術は、常に変化する現場全体の環境条件を観察し、その分析結果を建設業者や請負業者に提供する。

センサーには、建設現場での安全性向上の確かな実績がある。Costain社が使う電子外周アラームは、沿道の作業員がセーフティ・ゾーンから離れた際にアラームで警告を知らせる。23年前の技術革新を時代遅れにするようなセンサーは、高速道路の建設請負業者にとって貴重な安全装置になっている。

点検の効率化を可能にするソフトウェア

機械の十分な管理は建設業の安全性にとって極めて重要である。しかし、法的基準に則って機械一台一台を点検したことを証明するのは時間がかかる。リフト装置の検査ソフトウェアが建設・エネルギー業界で話題となっている。世界の約6,000人の検査員が同ソフトウェアを使い、作業場の機械検査を迅速化、コンプライアンスの記録作成の自動化を行っている。

無人機械

自動運転ブルドーザーを製造する日本最大手建設機械会社コマツのような会社のおかげで、未来の展望からありきたりの日常に至るまで、建築現場のロボット化は標準化されつつある。コマツ社は、無人航空機(UAVs)-別名ドローン-を機械の“目”として利用する。無人航空機が3次元の建設現場モデルをブルドーザーや他の無人機械に送り、それらの進行路を描いてくれる。

さらにドローンは、進捗報告や、必要とされるプランニングの変更に関する最新情報の提供や、配送監視による物流の迅速化を提供する。

英国では、建設請負業者のCostain社がドローンの開発をリードしている。同社の航空ソリューションチームはUAVsを使った測量回数の削減が認められ、Construction News Innovation of the Yearを受賞した。UAVsには広範囲の測量機能が搭載されており、標準カメラまたは赤外線画像やライダー(LIDAR: 光検出及び測距センサー)などの高度な測量機器が利用されている。

UAVsは危険地域の接近が難しい建物を検査する目的に使用することもでき、さらに2017年のスウェーデンの研究では、UAVsを使うことで心臓発作を発症した患者に、広範囲に渡ってより短いレスポンスタイムで除細動器(AED)を輸送ができる可能性が示唆されている。

ドローンといえば

3次元レーザー搭載のドローンは、測定精度確認の際のリスクを取り除いている。建設途中の建物の危険な測定作業を人間に代わって行い、また、測定を数分で完了させることで時間を節約してくれる。

検査ソフトが装着されたドローンは、危険要因を指摘することで、現場の健康と安全を劇的に向上させることができる。テクノロジー会社には産業利用目的のUAVsを開発しているところもあり、ドローンのスペックが向上し価格が下がるにつれ、建設部門全体で使われるようになってきている。検査ドローンは、侵入者や窃盗、破壊行為を監視し、セキュリティも高めている。

  • 作業員を守り、パワーアップさせるロボット

筋骨格障害(MSDs)を抱える労働者はあまりにも多い。建設業界での業務に関連して発症したMSDsの割合は、その他全ての業界を合わせた割合より16% 高い。また、これら損傷の3分の1以上は、リフティングで過剰に力を出すことに起因する。

日本の清水建設は、テクノロジーの助けを借りて作業員の安全性を高めており、200キロの鉄筋を持ち上げる腕型ロボットを開発した。通常、この重量の長くて運びにくい鉄筋を持ち上げて運ぶには6~7人の力が必要である。清水建設のロボット技術は、人員を半分にカットし、労力を飛躍的に削減している。

外骨格型ロボット-電気及び/または人間の動作で動くウェアラブル(装着型)の機械-が建設現場の安全性に著しい効果を与えている。

韓国大宇社の造船所では、作業員が重い物を持ち上げる必要のある時には、アルミニウム合金や鉄、カーボン・ファイバーでできたスーツを装着する。このスーツは負荷重量を40%下げる。

可動性と過負担のリスクを取り除くため、産業全体で更なる研究や開発が行われる必要がある。しかし、業界ウェブサイトのRobotics Business Review は、“建設会社、組合、保険会社、政府機関が、重労働や過酷な労働環境に起因して、怪我またはそれ以上に深刻な被害を起こしかねない仕事に対して外骨格型ロボットの使用を義務付けるようになるのも時間の問題だ”とのコメントを記載している。

  • ウェアラブル技術で事故を減らす

FitBitsやアップルウォッチだけがウェアラブルではない。建設業界は同様の技術を使って事故を減らしている。

ウェアラブル商品とウェアラブル対応の服は、作業時の標準装着となりつつある。GPSを含む技術革新により、安全ベストが作業員が危険エリアに入るとアラートで通知をし、バーチャル・バイザー付のヘルメットは作業情報を投影し、着用者に温度の上昇など労働環境の変化について警告を出してくれる。

自分の会社にとってベストな安全技術とは?

新世代の安全技術が作業員の安全を向上させ、結果として保険のコストを改善することは、ほとんど疑いの余地がない。効率性と生産性も向上させるだろう。安全技術の恩恵を受けるため、契約のある建設保険ブローカーに自社にとって最適なリスク緩和策について相談してみよう。

手頃な使用者賠償責任保険を手に入れるには?

最も効果的な建設業界用の使用者賠償責任保険を見つけるには、専門性の高い顧客第一のブローカーと契約することだ。彼らは、市場知識と専門的な経験を持ち、交渉を通して最も手頃な契約を取り付けてくれるだろう。