ウクライナ:電力改革が期待される選挙

08 February 2019

原文: ELECTIONS EXPECTED TO LEAD TO A CHANGE OF POWER IN UKRAINE

ウクライナの2019年の選挙では現職のペトロ・ポロシェンコ氏が有権者の支持を得ることに苦戦しており、大統領が交代すると見られる。不安定な状態がテロリスクを上昇させるであろう中、ウクライナは先の12ヶ月の見通しにおいても紛争の影響を受け続けると考えられる。国家は2019年、深刻な債務返済義務に直面しているが、引き続くIMFの取り組みが国家信用リスクを和らげるだろう。

安全保障環境

ペトロ・ポロシェンコ大統領の支持率は20181月から8月において平均1011%であったことから、2019年の大統領選挙においてその立場を保持することに苦戦するであろう。ポロシェンコ氏は2017年に最低賃金を二倍に上昇させたにも関わらず、有権者の支持を得ることに苦労している。選挙の結果はまだまだ定かではないが、対抗候補のユーリア・ティモシェンコ氏はこの数ヶ月の調査で好ましい結果を得ており、第一次選挙で勝利する可能性が高い。しかし、彼女はポップスターのSvyatoslav Vakarchukのような、政治への新入りを破ることに苦労するだろう。

2018年11月11日、分離主義のドネツク人民共和国(DPR)とルハンスク人民共和国(LPR)が地域議会選挙を行った。EU、ウクライナ政府、欧州安全保障協力機構(OSCE)はこの選挙が違法であると非難しており、DPRとLPRがミンスクⅡ停戦合意協定を侵害していると示唆している。

ロシアはこの選挙の結果を承認するものと見られ、その結果一年間の見通しにおいて和平会談を実質的に進捗させる可能性が減少し、予見しうる将来にわたり東ウクライナの接触線近辺での暴力事件が継続することを確実化するだろう。

ウクライナとロシアの関係は、2018年11月に3隻のウクライナ軍艦がケルチ海峡でロシアの国境巡視船によって拿捕されたことで更に悪化した。それに対してウクライナは10の地域において30日間の戒厳令を発動した。この直近のウクライナとロシアの衝突は見込み違いを引き起こす可能性を増大させ、更に事件が発生することがありうる。また短期的な見通しでは貨物輸送に対する妨害がなされる可能性があり、ロシアに対して更なる制裁が科されるだろう。

貿易環境

ウクライナの国家信用リスクは国際通貨基金(IMF)の関与に結びついている。IMFの支払い遅延が投資家の懸念を駆り立てたことにより、ウクライナ・ユーロ債の利回りは2018年を通して上昇した。ウクライナがガス関税の引き上げを拒否した後、2017年以降IMFからの支払いは行われていない。

2019年、ウクライナの債務返済残高は1176千万USドルまで増加し、IMFは構造改革計画の下において外国為替の維持や投資家信頼の獲得のために必須の要素となるだろう。投資家たちは201810月のIMFの新対応策の調印によって安堵したはずだ。

この39億ドルを融資する14ヶ月計画は、20193月に満了を迎える拡大信用供与措置(EFF)を代替するものであり、ウクライナが確実に返済義務を果たせるようにするだろう。

ウクライナは2014年から2016年の深刻な景気後退からの回復を見せているが、継続する分離主義の対立が続き構造改革の実行が遅れていることから、景気回復は活気の無いままとなるだろう。実質GDP成長率は2019年に2.9%になると予測されており、この成長は2018年第一四半期に前年比5.6%の成長を見せた家計消費に主導されたものとなろう。ドンバスの貿易封鎖の解除と輸出の回復と同時に、鉱業や採石業への投資もまた経済活動を後押しすると見られる。

ウクライナの経済の見通しは、選挙結果、特に次期政府がIMFの関与を受け続けるかどうかに影響を受けるとみられる。ティモシェンコ氏は、IMFプログラムの下で行われる現政府の構造改革を批判しているが、その祖国党は政府内においてより人民主義的な政策を追求することによって経済的なダウンサイドリスクを生む可能性がある。

投資環境

構造改革の進行が遅れていることから、この先数年のウクライナの電力分野の成長も減速すると見られる。

電力生産の成長率はこの先10年で年間平均0.3%になると予測されている。政府は紛争に対して脆弱な石炭やガスの輸入への依存を減らすため、電力資源比率の多様化を目指している。新たな電力市場法は2017年に導入されたが、これは市場規制をエネルギーコミュニティ条約と連携させ、20197月までに電力市場を完全に自由化することを提案している。

しかし、特に選挙が政府の交代という結果となった場合、完全に実現されるとは限らない。市場改革は特に物価上昇を恐れる一般市民から反対されている。政府の交代はまた、政治家が広範囲にわたって商業活動に関与することによって契約変更リスクを引き上げると考えられる。ティモシェンコ政権は現行のポロシェンコ政権の元で承認された契約を見直す可能性がある。

ウクライナでの電力改革が期待される選挙

World Risk Review Nov 2018