タイ:抗議デモリスクが高まっている

08 April 2019

原文: PROTEST RISKS ARE ON THE RISE IN THAILAND

タイは2019年初頭に総選挙を行う予定だが、軍は政治に対して深刻な影響を及ぼし続けるだろう。選挙に先立って、抗議による事業活動上の混乱が起こる可能性があり、国の南部での分離主義の暴動も続くと考えられる。タイの経済成長は強固な公共投資によって支持されるであろうが、新文民政権は軍事政権によって締結された契約を撤回するリスクがある。

安全保障環境

4年以上にわたった軍事支配の後、タイは大幅に遅れていた総選挙を数ヶ月以内に行おうとしている。投票は2019年の2月に行われるとみられるが、20195月まで更に延期される可能性がある。選挙が文民政治の復活を導くことを期待されている一方、プラユット・チャンオチャ陸軍大将が首相として留まり、議会に対する軍の支配が継続される可能性がある。

抗議デモリスクは選挙に先立って高まるだろう。タイの政治は前首相のタクシン・チナワット氏とインラック・シナワトラ氏それぞれの支持者間で非常に分断された状態が続いており、タクシン首相派(赤シャツ)と反タクシン首相派(黄シャツ)として知られている。

後者はロイヤリスト(君主主義者)とナショナリスト(国家主義者)によって形成されており、軍との強い結びつきを保っている。来年の選挙を目前にして、赤シャツ派は選挙運動を制限されると見られ、その結果抗議デモリスクが高まるだろう。抗議デモ活動は事業妨害を引き起こす可能性があるが、2010年や13,14年の水準には到達しないだろう。

2010年、100,000人の赤シャツ派による抗議が軍によって崩壊させられ、91名が犠牲となった。抗議参加者は商業資産や政府の建造物に放火をし、約10億ドルの財物損害をもたらした。

2017年を通して複数回の即席爆発装置による攻撃が行われ、タイのテロリスクは高まっている。

南部における分離主義者の暴動は、リスクが特にナラティワート、パッターニ、ヤラーにおいて高まっていることを意味している。一年間の見通しでは、暴徒が即席爆発装置や火器を用いて治安部隊を標的にし続けると見られるが、商業資産や観光地も攻撃の的とされるだろう。中期的な見通しでは、平和協議が僅かな進展しか見せていないことから攻撃が引き続き行われると予測されている。

しかし、更に大規模な軍の存在やタイ南部での戒厳令の発動はリスクを緩和させ、暴力的攻撃による死亡者を確実に低減させるだろう。2017年の暴動による死亡者数は、暴動が始まった13年前以降、最も低い水準であった。

貿易環境

タイの実質GDP成長率は2018年に4.0%、2019年に3.7%になると予測されているが、選挙を取り巻く市民不安の勃発がリスクを残存させ、投資家感情に重くのしかかるだろう。米中間の貿易論争は和らぐ気配を見せず、両国の経済の減速はタイの輸出と観光分野を圧迫するだろう。

しかし、タイは個人消費が2018年の第2四半期に過去5年間における最高値に到達していることに加え、国家経済・社会開発計画の一部として強固な公共投資水準を保持しようとしている。

対GDP一般政府負債が33%を下回っており、公共分野の割合や外貨負債に限度を設ける財政規制に忠実に従っていることから、国家信用リスクは比較的低い。更に、現在の財政は黒字を保っており、外貨準備金は増大して2018年には2200億ドルになろうとしている。政治的不安定の脅威と米国金利の上昇がダウンサイドリスクを引き起こすが、向こう12ヶ月の見通しにおいて、バーツが深刻な価値低下に直面するとは見られない。

Risk Outlook: トルコ

投資環境

新政府は官民パートナーシップによるインフラ投資を優先し続けると見られているが、総選挙に先立って契約上のリスクが徐々に高まっている。収用リスクは低いものの、新行政は軍事政府の下で合意に至った契約、特にインフラ、運送分野の契約を取り消すとみられる。

タイの法制度は契約執行状況について、世界銀行の評価においてクレームの解決に平均440日の所要日数とクレーム金額の19.5%のコストを要するとされており、比較的効率的な国の一つである。しかし、タイでは汚職がありふれており、司法のパフォーマンスが多くの贈賄事件によって悪化している。

タイの抗議リスクが高まっている

投資家たちはブラジルの新大統領に何を期待できるか