エジプト:引き続きテロリスクが増大

19 December 2018

原文: TERRORISM RISKS REMAIN ELEVATED IN EGYPT

アブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領は2018年3月に第二期目へ入り、IMF綱領の指導に従った経済の再建を引き続き優先するだろう。これはエジプトで再び高まった投資家の信頼を支えると考えられるが、テロのリスクは依然として高いままである。

安全保障環境

2018年2月に始まった政府のテロ対策運動が2019年を通して継続された場合、テロの脅威は緩和される可能性はあるが、12ヶ月の見通しではエジプトのテロリスクは高いまま留まるとみられる。ISグループのシナイ州は、シナイ半島拠点の外部、特にグレーター・カイロやナイル川デルタ地域の都市部での攻撃の開始を試みるだろう。イスラム国のシナイ州による攻撃の数は2017年に20%減少した反面、死者数は87%増大した。このグループは宗教的少数派や安全部隊への攻撃を第一義とし、火器や即席爆発装置を用いるとみられる。殆どの観光リゾートではしっかりとした安全対策が取られているが、南シナイのリゾートは引き続き格好の標的となるだろう。

抗議活動は中期的に発生すると考えられるが、持続的もしくは組織化されるとは見られない。抗議活動は主に社会給付や補助金を削減する政府の経済政策に対して行われ、都市部に集中すると見られる。しかし、政府は反対意思を許容することはほとんどなく、2018年4月に緊急事態宣言を更新し、治安部隊に対して拘留を行うことのできる強力な権限を付与した。これによって多くの抗議者は確実に即座に解散させられるだろう。安全部隊は、警棒や催涙ガスを用いて強硬的な手法でイスラムグループによる抗議活動に対抗しようとし、その結果死傷や付随する財物損害のリスクが高まるだろう。

貿易環境

エジプト経済は政府のマクロ経済再建プログラムのもと引き続き安定しており、中期的見通しにおいて強さを発揮すると見られる。実質GDP成長率は2018/19会計年度には5.4%になると予測されている。外貨準備高が2018年7月までに443億USドルに達したことで、外国硬貨へのアクセスは向上した。2018年6-7月に発表された、燃料、電力、水道への助成金の削減は2018年、19年度の基礎的財政収支黒字3%を実現する支えとなるだろう。しかし国債費は増加を続け、総予算は赤字のままに留まると見られている。2018/19年度の赤字はGDPの8.6%と予測ざれており、2017/18年度の9.8%からは減少する。国家がその赤字を借入金で融通していることから、公的債務残高もまた高水準のままである。しかし、財政赤字が縮小し経済が成長することにより債務残高は減少するだろう。対GDP公的債務残高は2017年12月時点の推定94%から2018年末までに79.9%に減少すると見込まれている。

天然ガス分野もまた成長を加速するだろう。初期生産性が3億5千万立方フィート/日であったZohrガス田が2017年12月に稼動を開始し、2018年末には15億立方フィート/日に到達すると見込まれている。これによりエジプトは2019年までに天然ガスの供給余剰を達成するであろうし、同国が地域におけるエネルギーのハブとなることを目指していることから、輸出や外国投資を支えるだろう。

投資環境

エジプト政府は、外国投資が持続的な経済回復を創造するに当たって重要な役割を果たすであろうことを認識している。そのため、外国企業の国内での事業を制止する行動は行われないとみられ、収用リスクは緩和されている。政府はまた、特定地域での投資に対しての50%の減税などの刺激策を提供する2017年5月の投資法の改正を含む、外国投資家向けの投資環境改善に向けた行動も起こしている。

エジプトの建設分野は、人口の増加や政府が大衆の支持のテコ入れを望んでいることを反映して、特にスポットライトが当てられることが予想される。建設産業は2019年に前年比実質成長率10.83%となることが予想されており、地域において他産業を凌駕するだろう。エジプトはすでに入札の透明性を保証するPPP(官民パートナーシップ)セントラルユニットによって支えられている強固な官民提携の枠組みを持っている。しかし、エジプトでの困難な投資環境はプロジェクトの遅延を引き起こす可能性がある。政府と軍は経済において広範な役割を担っており、エネルギー価格の上昇は民間企業にとって軍所有の企業との請負獲得競争を厳しくさせる。例えば、東カイロに新たな行政中心地を建設するプロジェクトでは、契約金額に折り合いがつかず2017年2月に中国建筑工程总公司が撤退した。

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WRR Nov 18  

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