IN-IN案件に対する表明保証保険の手配について

08 February 2019

2018年1月―12月で日本企業が実施したM&Aは、件数は3,850件で前年比26.2%増、金額は29兆8802億円と、件数・金額とも過去最高を記録したようです。IN-OUT案件は、武田薬品工業がアイルランドのシャイヤーを7兆円で買収したことにより、金額は19兆365億円と前年の2.5倍の大幅増加となったとのこと。また、IN-IN案件の合計金額は2.8兆円と、対前年比22.1%の増加となった模様です(レコフ調べ)。

このようなM&Aマーケットの活況により、表明保証保険に対する問い合わせ件数が格段に増えております。クロスボーダー案件では、売り手がファンド・個人のケースにおいて、オークション・交渉で表明保証保険の活用が必須条件となるケースが数多く見受けられます。結果として、クロスボーダー案件で日本企業が表明保証保険を活用するケースは、大幅に増加していると思われます。

また、最近の傾向として、IN-INの案件でも、表明保証保険についての問い合わせを受ける機会が増えております。その理由として、日本の事業会社が子会社を売却・PEファンドが(から)国内のポートフォリオカンパニーを売却(買収)する際に、表明保証保険の活用を検討するケースも増えているようです。

表明保証保険においては、保険の引き受け審査を行うアンダイラーターは、日本語ができない者が大半を占めていた為、過去は日本企業による表明保証保険の活用はクロスボーダー案件にほぼ限定されておりました。一方、現時点での証券発行件数は僅かと思われますが、IN-INの案件でも表明保証保険が活用され始めております。ここでは、現在のIN-IN案件に対する表明保証保険のマーケット状況などについて、ご案内したいと考えております。

1.IN-IN案件の表明保証保険の引き受け(審査)を行う保険会社・MGA

①AIG損害保険会社

AIG損害保険会社は、国内・海外における表明保証保険の代表的はプレイヤーであり、国内では2004年に認可を取得しています。従前は、クロスボーダー案件が中心であり、SPA・IM・DDレポートの全てが英文で作成されている必要がありました。近年は、日本人アンダーライターの加入により、IN-IN案件の引き受けにも積極的に取り組んでいます。

現時点では、SPAが完全に英訳されることを前提に、DDレポートなどが和文で作成されている案件でも、引き受けが可能となっている。また、提供できる限度額は、40億円~50億円と考えられる。

②Fusion (Managing General Agent)

オーストラリアのMGA(保険の引き受け審査を専門に行う会社)が、日本におけるIN-IN案件の引き受け審査を本格的に開始しました。現時点では、SPAとIM・マネジメントプレゼンが英訳されることを前提に、引き受けの審査が可能となります。具体的には、和文で作成されたDDレポートを、同社の引き受け審査の補助を行うバイリンガルの法律事務所がレビューをし、同社が必要とするレッド・フラッグなどの情報を英語にてフュードバックします。なお、現時点では30億円~40億円の限度額の提供が可能ですが、海外のアリアンツ・チューリッヒなどの保険会社が再保険者としてキャパシティを提供し、国内の保険会社が証券を発行するスキームにて検討されています。

2.IN-IN案件の表明保証保険の手配について

前述の保険会社・MGAを活用することにより、SPAが英訳されれば40億円~50億円、更にIM・マネジメントプレゼンまでが英訳されることにより70億円~90億円程度の限度額での表明保証保険の手配が可能となあります。ただし、Fusionが組成する保険契約がエクセス保険となる場合は、IM・マネジメントプレゼンの英訳は不要となる可能性もあります。表明保証保険に関しては、ディールバリューの10%~20%で限度額が設定されることが一般的であり、EVが数百億円の比較的大きなIN-IN案件まで手配が可能となります。

従って、ディールバリューが20億円程度の事業承継案件などの比較的小規模なディールから、700億円~900億円といった大型IN-IN案件まで、現状の保険マーケットでは表明保証保険の活用が可能です。

なお、表明保証保険を引き受ける前提として、保険会社は保険を活用しない場合と同等のDD(デュー・デリジェンス)が行われることを期待しています。税務・法務・会計などの分野で、十分なDDが行われないディールに関しては、表明保証保険の手配は困難になります。

国内の保険会社は、IN-IN案件の表明保証保険について、将来的には大きな収益機会があるとの見方をしています。保険会社同士の競争が激化することにより、料率の低下や担保範囲の拡大が見込まれます。今後の更なる国内保険会社の新規参入を、是非とも期待したいと思います。

 

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